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事例紹介

2024

株式会社キッズコーポレーション「大空と大地のなーさりぃ」

株式会社キッズコーポレーション「大空と大地のなーさりぃ」について

2021年2月より「はいチーズ!ベジ」を導入。保育園を全国で290園以上運営。東京都内で13園の認可保育園を運営。子どもが成長した時に、自らの人生を切り拓くための「生きる力」「人間力」を育てる保育方針で運営されている。(2024年7月現在)

お答えいただいた方

株式会社キッズコーポレーション               品質管理部 給食品質管理課 マネージャー 鳥居美由紀様


Q「はいチーズ!ベジ」導入前、園での給食や食育についての課題や改善したかったことを教えてください

保育士や栄養士それぞれが食育活動を企画していました。保育士が考える食育活動、栄養士が考える食育活動、というように職種により分断されていました。                         また保育園の中だけで食育を進めてましたが、もっと広い視点で食を学べる機会を作りたいと考えていました。                                              当社では、一人ひとりの子どもが異なる興味や関心を持ち、それぞれに合った成長を遂げていくことを大事にしています。食育においても、子ども達の個性を尊重し、子ども達の食への興味を引き出すような取り組みを模索していました。   

                          

Q.「はいチーズ!ベジ」導入前、園ではどのような食育をされていましたか?

クッキング教室は開設当時から開催してますが各自治体で調理の規制が異なるため、各園に一任していました。                                              また全ての園で入園を検討されている保護者の方に向けて給食の試食会を実施し、当園の給食への理解を深めていただいています。2024年のアンケート結果では、入園理由の4位に「給食の質」が挙げられ、保護者の方が給食に注目してくださっていることが分かりました。これは、2023年に比べて2ランクアップした結果で、年々給食の質に対する関心が高まっていると感じています。                  在園児の保護者の方は、子どもから聞く話や、保育園に展示している給食を通して給食について知って頂いています。

Q.「はいチーズ!ベジ」導入の決め手は?

ベジリンクさんからの「オンリーワンの食育体験を実現します!」という言葉と、提案後すぐに畑に連れて行っていただき、農家さんと直接お話させて頂いたことが導入の決め手となりました。         子ども達が、自分達の畑で野菜を育て、収穫し、食べるという一連の体験ができたら言葉通り「オンリーワンの食育体験」ができるかもしれない、と思いました。

Q.他の給食サービスと比較しましたか?「はいチーズ!ベジ」の差別化ポイントは何でしたか?

以前お願いしていた給食業者さんに問題や不満があったわけではありません。             もともと総合卸の業者さんから野菜を提供いただいていたので、今のベジリンクさんの提供と変わりません。                                              ベジリンクさんは、単に食材を提供するだけでなく、子ども達が実際に畑で野菜を育て収穫する体験を通して食に関する学びを深められる点が大きな魅力でした。当社が求めていた、子ども達の成長に繋がる、より深い食育を実践できるのではないか、と期待しました。

Q.現在の貴園の食育活動内容を教えてください

代表的な食育として、ベジリンクさんの畑で契約栽培を行っています。                最近印象的だった活動は「かかし」を作ったことです。                        提携農家さんが大事に育てている野菜を守るために古着や廃材を持ち寄り、個性的なかかしを作りました。すべてに名前もつけて、お友達ができたように喜んでいました。                      食育の一環でしたが、子ども達の創造性を大切にし、お友達と話し合い制作することも学べたようです。                                               以前は保育士や栄養士それぞれがバラバラに食育活動を行うことが多くありましたが、今はみんなで協力して食育活動に取り組んでいます。例えば今回のかかし作りでは、栄養士が食の大切さを伝え、保育士が子ども達の制作活動をサポートするなど、それぞれ役割を分担しながら、一連の活動を進めることができました。

(キッズコーポレーションの保育園に通う子ども達が制作した「かかし」)

先日、弊社本部スタッフとベジリンクさんのスタッフで、子ども達が作ったかかしを畑に設置しました。その様子をオンライン中継で園に届けましたが、子ども達が興味津々に見入っていました。        農家さんとのオンライン交流も実施しています。画面越しに、作物がどのように成長しているか確認したり、農家さんから野菜作りについて話を聞いたりしています。                      デジタル技術も活用しながら、遠隔地にある畑の様子をリアルタイムで共有し、子ども達の学びを深めています。

(農家さんがオンラインでじゃがいもの生育状況を子ども達に伝えている様子)

Q.「はいチーズ!ベジ」の契約栽培を3年間導入頂いておりますが、3年間のあゆみについて教えてください。

3年間でたくさんの試行錯誤がありました。                             1年目は、初めての取り組みで園での実践方法に本部、保育園ともに苦慮しました。園に届けた野菜の活用について先生方から戸惑いの声がありました。さつまいものつるを活用してリースを作ったよ、と教えてくれる保育園があり他の園に共有したところ、来年度はやりたい!と広がりました。             2年目は、普段触れることが少ないダークパープル(人参の一種)、コリンキー(かぼちゃの一種)を植えましたが、見慣れない色に子ども達も抵抗を示し、栄養士も献立作成に苦労しました。               3年目は、ようやく契約栽培が軌道に乗り始めました。植え付ける品目は各園でよく使う品目に限定しました。変わった品種品目で食育授業などで使用したいものは畑の隅で育てる程度に運用を変更しました。                                            また、千葉県にある畑は東京から少し離れているため、子ども達が「自分達の畑」という意識を持ちにくい課題もありましたが、オンライン中継や収穫体験を通して、子ども達が徐々に提携農家さんや畑に愛着を持つようになってきました。

Q.その成果は想定通りでしたか?

想定を超える成果が出ています。                                 当社が大切にしている、子ども達一人ひとりの興味や関心が満たされ、個性を大切にした食育が出来るようになってきました。                                       単に「食べる」という行為にとどまらず、多様な興味関心を育んでいるように感じます。               畑に行ったときは野菜に興味を持つ子、虫に興味を持つ子、お花に興味を持つ子、野菜や畑の色に興味を持つ子、農家さんとお話することに興味を持つ子など、それぞれの興味・関心が満たされた契約栽培が出来ています。                                            子ども達の表現にも変化が見られました。                                以前はお絵描きの時間に、にんじんの絵を描くことはほとんどありませんでした。              今では葉っぱ付きのにんじんや、土の中に植えられた野菜を描くようになりました。           畑での体験が子ども達の想像力や表現力を刺激しているのではないかと思っています。

給食食材が農家さんから届いた時には、子ども達が「(会ったことのある)あの農家さんに絵を描いて送ろう!」と言い出し、農家さんに絵で感謝を伝えています。

Q.「はいチーズ!ベジ」について、保護者の方や、職員の皆さんの反応をお聞かせください

昨年秋の親子収穫体験では、保護者の方から「子どもと一緒に野菜を収穫できたことが良い経験になった」「普段できない体験ができて楽しかった」など嬉しい声を頂きました。特に「給食に使われている野菜に触れられたのが良かった」という声は印象的でした。                         職員にとっても大きな刺激となったようです。                              子ども達が食への興味や関心が高まるにつれて、職員たちも畑や野菜への理解が深まりました。特に収穫体験後は、新しい食育活動に対するアイディアが寄せられました。

職員の理解が深まることで、本部では畑や野菜に関する絵本や紙芝居を作るようになりました。     昨年秋の親子収穫体験の前には、しおりを作りました。当日すみずみまでしっかり読んで来てくれる保護者の方もいらっしゃいました。                                   そんな風に、子ども達だけではなく、保護者や職員も巻き込み、園全体が楽しめる食育を進められるようになりました。

(収穫体験のために作成したしおり)

Q.今後も「はいチーズ!ベジ」を通して効果を出していきたいことはどのようなことですか?

現在の活動がとても有意義な活動だと思っています。                        今後も今の活動を継続しながら、はいチーズ!ベジさんと一緒にアイディアを出し合い、より充実した食育活動を実践していきたいと思っています。                                私たち保育園の職員は子どもが5歳児までしか関われませんが、子ども達が小学校入学後も、自ら食について考え、選択できる力を育んでいきたいと思っています。

(契約栽培の畑で収穫した野菜を各園に配達)