news

ニュース

2022.05.17

農作業体験が幼児に与える心理効果の検証 脳波計測で幼児の知的生産性向上に有効性を示唆

プレスリリース

株式会社ベジリンク(東京都豊島区 代表取締役社長 塚田祥世)は、Momo統合医療研究所 医師・医学博士 木村理砂(東京都新宿区)、慶應義塾大学 理工学部(神奈川県横浜市)満倉靖恵教授監修の下、農作業が子どもの感性にどのような影響を与えるかという点の検証を目的に、農作業中の感性変化および農作業前後での作業(描画)における感性の変化の有無について調査を実施しました。結果、農作業体験をすることによりストレスの軽減だけでなく、作業後も集中力を上昇させるといった知的生産性の向上の可能性が示唆されたことをお知らせ致します。

■ 調査概要

□ 概要
本調査では、幼児の農作業体験中の感性値の変化と、農作業体験前後に実施した絵を描画するという作業における感性値の変化を脳波計測による感性把握技術を用いて計測しました。

□ 調査内容
・実施内容 :
 ①農作業中の脳波
 ②農作業前後の描画中の脳波
 ※農作業はさつまいも掘り、かぶ掘りを実施
・検証日  :2021年11月13日
・検証場所 :千葉県山武市 農園
・調査対象者:日常的に農作業を行っていない都内保育園に通園中の幼児(年長) 5~6歳児 男女10名※
・使用機材 :感性アナライザ(株式会社 電通サイエンスジャム)
・調査方法 :各アクティビティの前後に脳波計による感性計測を行ない、
       アクティビティを通じて幼児の感性がどのように変化したかを計測

※2021年8月4日に発表した「都市部における自然体験が幼児に与える心理効果の検証(URL:https://onl.la/cRhHY4Z)」において、日常的に農作業を行っていない群に分類された園児を対象としています

脳波による評価方法
バンド型の脳波計測器と感性アナライザ

「Android,アプリケーション」  「簡易型脳波計」


DSJが開発した脳波から感性へ変換するアルゴリズムにより、ストレス度、集中度、好き度、興味度、ワクワク度を0-100の数値として測定し、リアルタイムに感性変化を評価することが可能です。脳波計は装着しやすいバンド型で、ワイヤレスでの計測が可能であるため、対象者に大きな負荷をかけず、様々な場面で脳波計測を実施することが可能となります。

リアルタイムに感性を数値化

□ 体験別調査結果
以下のグラフは、農作業体験の実施前の感性平均値を100%として各体験の実施中と実施後の感性平均値に対する変化率を算出して比較しています。


■内容① 農作業体験について

農作業中に興味度、ワクワク度の上昇と、ストレス度の低下がみられており、関心を持って農作業を楽しんでいる事が認められました。
また、農作業を終えた安静時には、集中度(約40%)、好き度(約20%)、興味度(約10%)がそれぞれ上昇し、ストレス度(約10%)低下する興味深い結果となりました。
これにより、農作業体験が学習力や創造力など子どもの知的生産性の向上へ影響を与える可能性が示唆されました。

■内容② 農作業体験前後に実施した絵画の描画作業について

農作業前後における描画中の感性比較においては、集中度(約8%)、ワクワク度(約4%)がそれぞれ上昇しており、描画に没頭して楽しんでいる事が推測されます。

また、実際の描画を比較すると、農作業体験後においては、1つ1つの野菜や畑がよりダイナミックに画面いっぱいに描かれている傾向がみられました。

■ 調査結果全体のまとめ

本調査では、日常的に農作業体験をしていない保育園児(5~6歳)10名が農作業を行った際の感性変化、および農作業前後における作業(描画)中の感性変化の有無について調査しました。
また、食育の観点から農作業体験が子どもに与える影響を野菜の描画より推測しました。

□農作業体験が子どもの知的生産性の向上へ影響を与える可能性が示唆
農作業中に興味度、ワクワク度の上昇と、ストレス度の低下がみられており、関心を持って農作業を楽しんでいる事が認められました。また、農作業を終えた安静時には、集中度(約40%)、好き度(約20%)、興味度(約10%)がそれぞれ上昇し、ストレス度(約10%)低下するという興味深い結果となりました。

□農作業体験は食育の要素に加え、自然体験自体が子供を活性化している
農作業前後における描画中の感性比較においては、集中度(約8%)、ワクワク度(約4%)がそれぞれ上昇しており、描画に没頭して楽しんでいる事が推測されます。

▪専門家によるデータの考察
実際に農作業後の描画においては、より集中して楽しんでいる状態で、よりダイナミックな描画を行う様子がみられており、農作業体験により実際の畑や野菜に触れたという食育の要素に加え、自然体験自体が子どもを活性化している可能性も考えられます。
農作業は、土に触れる、野菜の成長(命)を体感する、収穫し食する(命をいただく)という一連の体験を通して、子供の情動や発達にどのように影響するのかを示すためには、より経時的な調査を実施することが必要だと考えます。

———————————————————————
調査実施者:株式会社ベジリンク
調査監修 :Momo統合医療研究所 医師・医学博士 木村理砂
      慶応義塾大学理工学部 教授  満倉靖恵
調査協力 :株式会社電通サイエンスジャム
———————————————————————

本調査ではN数が少ないことは課題であり、今後より多くの対象者に対して調査を行う必要がありますが、子どもの農作業体験における生体反応を脳波解析機器「感性アナライザ」を用いて数値化した調査として先行性があると考えています。


■ 株式会社ベジリンクについて
「都市と農村をつなぐ」をミッションに掲げ、不要な農薬や化学肥料を使わないで野菜栽培を行う農家と提携し野菜栽培から供給システムまでを持つことで、都市部が抱える食課題の解決や都市部が求める理想の食の実現を目指します。

【会社概要】
株式会社ベジリンク
代表取締役社長:塚田祥世
本社:東京都千代田区大手町一丁目3番2号 経団連会館13F
設立:2009年11月
TEL:03-6759-3263
HP:https://vege-link.com
事業内容:農産物及びその加工品の販売、宅配サービスシステムの企画・運営、食育コンテンツの企画・制作・提供